●開催にあたって
ギャラリー・アビィの写真展に参加し始めた頃、「群馬の自然の写真は撮らないのですか?」という感想を頂いたことがあります。私の住む群馬県のイメージから出た言葉なのだと思います。
実はかつて私は山に登り、プロとセミプロの多く所属する山岳写真の会にも所属して、銀座のギャラリーで会の写真展を開催したこともありました。
しかし、会の趣旨には同調しつつも、自分がやってみたい写真と乖離していることに限界を感じ、会を辞め、山からも遠ざかってしまったのです。
それから数年後、ふたたび写真を撮り始めようとカメラを探していた時、トイカメラというものを見つけました。ロモやホルガの世界には今まで写真に抱いていた堅苦しさや高尚さはなく、ピンボケや光漏れさえ受け入れて魅力として捉えるその価値観に衝撃を受けたのでした。
私はそれ以来、トイカメラを使っておもに街の風景を様々な視点で撮ってきましたが、2度目となる今回の個展では再び「山」に視点を向け、単なる登山の証拠記録としてではなく、山や森で「撮りたいと思ったもの」を素直に撮りました。
写真で山の魅力のすべてを、伝えきることは出来ません。なぜなら、そこに実際に行ってこそ、すべてを感じることが出来るからです。この写真展の狙いは、山で出逢えるその造形を見ていただくことです。
ぜひみなさんも、お近くの山に出掛けてみてください。
●作者プロフィール
矢島敏明(やじまとしあき) 群馬県在住
写真作家 / ホルガ会会員(No.467) / NGOシャプラニール正会員
○主な写真歴
2002 トイカメラを購入し第2の写真活動開始
2005 ホルガ会入会&ホルガエキスポ初参加
(ビバメシキコ名義・毎年参加)
ギャラリー・アビィ企画展に参加しはじめる
(イルちゃん名義・2009年8月時点で通算34回出展)
2006 自主企画二人写真展『FLOAT〜フロート』
(東京・高円寺/ギャラリー・たまごの工房にて)
2007 初個展『太平洋を越えて〜Sounds of sea』
(ギャラ リー・アビィにて)
○受賞歴など
2005 トイカメラ「しろねこホルガ」のパッケージに
作品写真が採用される。
2006 写真雑誌「カメラ日和」第5号企画
「ホルガな空」コンテストで2等賞。誌面掲載。 |